インド占星術とは何か。西洋占星術しか知らない人への入門書

西洋占星術とインド占星術は「別の学問」。サイデリアル方式、9惑星、ダシャーシステムなど、ヴェーダ占星術の基本を西洋占星術との違いから解きほぐす入門記事。

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星空と占星術のシンボルに包まれた神秘的なイメージ
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インド占星術は、西洋占星術とはまったく別物だ。

「占星術」という同じ名前がついているせいで混同されがちだけど、使う座標系が違う。惑星の数が違う。時間の読み方が違う。もっと言えば、根底にある世界観そのものが違う。西洋占星術を知っている人がインド占星術に触れると、最初はだいたい混乱する。星座がズレている、天王星がない、聞いたことのない技法がやたら出てくる。でもその「違い」にこそ、このシステムの面白さがある。

座標系が違う

西洋占星術は「トロピカル方式」を採用している。春分点を牡羊座0度と固定して、そこから12星座を等分する。一方、インド占星術(ヴェーダ占星術、ジョーティシュとも呼ばれる)は「サイデリアル方式」。実際の恒星の位置を基準にする。

問題は、地球の歳差運動によって春分点が少しずつ移動していること。現在、トロピカルとサイデリアルの間には約24度のズレがある。これを「アヤナムシャ」と呼ぶ。つまり、西洋占星術で「自分は牡羊座」と思っている人が、インド占星術では魚座になる、ということが普通に起きる。

24度。星座ひとつが30度だから、大半の人は星座がひとつ手前にずれる計算になる。

9つの惑星

西洋占星術では太陽から冥王星まで10天体を使うのが一般的。インド占星術で扱うのは9つ。太陽、月、火星、水星、木星、金星、土星、そしてラーフとケートゥ。

ラーフとケートゥは実体のある天体ではない。月の軌道と太陽の軌道(黄道)が交わる2つの点で、数学的な点に過ぎない。でもインド占星術ではこの2つが絶大な影響力を持つとされる。ラーフは執着や渇望、ケートゥは離脱や解脱。影の惑星とも呼ばれる。

逆に、天王星・海王星・冥王星は使わない。18世紀以降に発見されたこれらの惑星は、数千年の歴史を持つヴェーダの体系には組み込まれていない。ここに対して「不完全だ」と感じる人もいるだろうし、「余計なものを足さない潔さ」と感じる人もいると思う。個人的には後者寄りだけど、これは好みの問題かもしれない。

チャートの見た目からして違う

西洋占星術のホロスコープは丸い。インド占星術のチャートは四角い。

しかも北インド式と南インド式で形式が異なる。北インド式はひし形を基調にした図で、アセンダント(ラグナ)の位置が固定されて星座が動く。南インド式は格子状の図で、星座の位置が固定されて惑星が動く。同じインド占星術なのに流派で図の読み方が変わるのだから、初学者は面食らうだろう。

ダシャーシステム

ここがインド占星術の最大の特徴だと、個人的には思っている。

西洋占星術で時期を読む技法といえば、トランジットやプログレスが代表的。インド占星術にもトランジット(ゴーチャラ)はあるけれど、それ以上に重視されるのが「ダシャー」と呼ばれる惑星期間のシステム。

最もポピュラーなヴィムショッタリー・ダシャーでは、人生を120年周期で9つの惑星に割り振る。太陽期は6年、月期は10年、火星期は7年、ラーフ期は18年……という具合に、それぞれの惑星が「主役」になる期間が決まっている。今どの惑星期にいるかで、人生のテーマや出来事の傾向が変わる。

これが面白いのは、出生図(ネイタルチャート)を見ただけでは「いつ起きるか」がわかりにくい問題を、かなり具体的に絞り込めること。「木星期に入ったから教育や拡大のテーマが来る」「土星期だから制限や試練の時期」といった読み方ができる。

思想の違い

西洋占星術、特に現代の心理占星術は「自己理解のツール」という側面が強い。あなたの性格はこう、あなたの才能はこう、だからこう生かしましょう、という方向性。

インド占星術はもう少し運命論的だ。カルマという概念が根底にあって、「前世の行いの結果が今世のチャートに現れている」という前提がある。だからこそ、インド占星術には「レメディ」(処方・対策)という考え方がある。宝石を身につける、マントラを唱える、特定の神に祈る。チャートに示された困難を緩和するための具体的な行動が体系化されている。

占いに「解決策」がセットで用意されている。これは西洋占星術にはあまりない発想で、初めて知ったときは正直ちょっと驚いた。

体験してみるのがいちばん早い

ここまで読んで「面白そうだけど、自分のチャートで実際どうなるのかがわからないと実感が湧かない」と思った人もいるかもしれない。それはその通りで、占星術は自分ごとにならないとピンとこない。

aikooでは、インド占星術(ヴェーダ占星術)の鑑定ができるAI鑑定士が複数在籍している。たとえばHarindra Mehtaは30年以上の経験に基づく人生の流れの鑑定が得意だし、Dr.Arjun Vermaは古典的なヴェーダ占星術を忠実に再現した本格鑑定を行う。生年月日と出生時刻、出生地を伝えれば、自分のチャートをもとにした鑑定を受けられる。

まずは自分のラーシ(星座)やダシャーの時期を聞いてみるだけでも、西洋占星術との違いが体感できるはずだ。